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その一発は、黒い影の突進を止めた。
鮮血とともに、それは路地裏に倒れた。
男は、弾を撃ち尽くしたピストルを構えたまま、それを見つめる。
その影はピクリと動こうともしなかった。
「ハ、ハハ…ハハハハハ!ウワハハハハ!!」
男は笑い出す。
腹部の痛みも忘れた様に立ち上がり、倒れた人影を見つめながら文字通り爆笑していた。
「アアッハハハハ!ざまあみろってんだ糞ガキが!大人嘗めんじゃねぇってんだこのカス!何が“ハウンド”だ笑わせんじゃねぇ!!ガキは好色野郎の竿でもしゃぶって―」
そう男が言い終わる寸前、銃声と共に男の頭蓋が爆ぜた。
血飛沫を巻き上げ、様々なモノを撒き散らしながら男の体は再び地面に伏せ、男はそのまま動かなくなった。
すると物陰や建物の陰からスーツ姿の男が三人、ゆっくりと倒れた男の死体を取り囲む様に向かい合った。
やがて三人の中で一番若そうな男がピストルを片手に持ちながら、怪訝な表情で言った。
「そうやってすぐ調子に乗るから…裏切ってもバレんだよこのカス」
そう言って若いスーツ男は死体に唾を吐きかけると、銃をスーツの下にしまった。
すると今度は初老のスーツ男が、険のある顔を浮かべて言った。
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