ユウコ

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ユウコはぼんやりとガラス越しに窓の外を眺めていた。ゆらゆら揺れる水の波紋がとても綺麗だった。 ここから見えるナツとリョウはよく喧嘩をする。 ナツはリョウが大好きだった。でも余りにしつこいと、すぐにリョウは癇癪を爆発させナツを追いかけ回す。 せっかくのツガイなのにもったいない。 いつかは子供を見たいものだとユウコはいつも思っていた。 仲良くしている時も、もちろんあるし、姿が見えないと思ったらひょっこり仲良く顔を出す時もある。 そんな二人を眺めているのがユウコは大好きだった。 ある日ナツが寂しそうにユウコの方を眺めながら口をパクパクさせていた。ユウコには何を言っているのか分からなかったが、ナツが少し弱っているのは分かった。 先日リョウに酷く追いかけ回された時に怪我をしたのだろう。ナツは綺麗な白色をしていたが、傷が所々付いてしまっていた。 ユウコはナツが好きだった。ナツが綺麗な白色の身体をひらひらさせている姿は優雅としか言いようがない。 そんなナツが傷付いているのを見るのは耐えられなかったが、路地を挟んで隣の一軒家からナツを眺めるユウコには何も出来なかった。
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