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――ガタンゴトン‥
揺れる車内に身をまかせ、窓の外を眺めた。
もうここは田舎だ。
見渡すかぎりの山と田畑、家がポツポツと建っている。
こんなところに用事がある人は少ないので車内にはアタシを入れて3人しかいない。
一人は買物袋をたくさん提げたおばさん。
もう一人は同じ年くらいの男の子。黒髪が肩のうえでサラサラと揺れて、とても格好良い。
もしかしたら、行き先が同じかもしれない。
と思うと、電車が止まった。
壁に貼ってある路線図をみるとあと二駅である。
視線を戻すとおばさんがのろのろと電車を降りて行くのが目に入った。これで乗っているのはアタシと黒髪美少年のみである。
また電車が出発すると同時、彼がリュックから一枚の冊子を取り出した。
『――あっ!』
表紙に[嶺国学院中等部]文字。
まさに嶺国学院中等部こそ、アタシが向かっている場所。
そして、その冊子をアタシも持っていた。
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