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それから無言のまま次の駅に着いた。
嶺国学院はもうすぐそこに迫っていた。
発車してもアタシと彼は変わらず無言のままで‥‥。迷惑だったのかな、と落胆する。
「‥‥俺も、」
沈黙を破ったのは彼。
「おかしいと思った」
『‥‥うん』
彼はゆっくり話し出す。
「学院から送られて来たのは入学許可証と今日の試験についての案内。それと親宛の手紙」
―‥‥アタシもそうだった。
「親宛の手紙も見せてもらったけど金の事と全寮制で帰省の事しかなかった」
彼が冊子を鞄にしまった。そして立ち上がる。アタシもつられるように立ち上がった。
「――嶺国学院前駅、終点です。降り口は――」
『――きゃっ』
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