始まり

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改札を通ったアタシ達。 でも駅には他に誰ひとりいなかった。 『あれ?新入生って二人だけじゃないよね?』 いくら田舎とはいえ、そんなに少なくないだろう。 「まさか。ここは電車でくるには遠すぎるんだよ。それに三ヶ月は帰って来られないんだ。車で来る奴が多いんだろ」 『なるほど。甘ったれた奴がたくさんいるのね』 そういうと彼が意外そうに表情を変える。 「意外と毒舌なんだな」 『そっちこそ意外としゃべるのね』 駅のバス停に着く。 彼が時刻表を覗き込んだ。 「どのくらい待つ?」 彼は腕時計を見てため息を一つ。 『さっき出たばっかりだ。歩いた方が早いと思うが、どうする?』 「‥‥なら歩きましょ。バスで話していて他の人に聞かれたら嫌だし」 彼はそうだな、と言って歩きだした。 あたしも一歩後ろを歩く。 .
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