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「何してんだ、早くしろよ!」
人気の無い炭鉱に、子供の声が響く。
それに続いて、別の複数の子供の声も聞こえてきた。
最初の声はリーダー格らしい少年の声。
「誰も来ないか見張ってろよ」
声は次第に反響を含み、どの声が誰のものか判別がつかなくなる。しかし、
「おい! 早く来いよ!!」
リーダー格の少年の声が戻ってきた。
と同時に、その声を突然の爆音が切り裂く。
そして、そこに微かに含まれる、子供達の悲鳴。
その後、集まってきた大人達の声。
混乱と嘆きが含まれていた。
それらはしかし、次第に耳から遠退いていったのだった。
次に聞こえた声、それは俺を宥め賺(すか)そうとする声。
「あれは事故だったんだ」
事故。
「お前の所為じゃない」
俺の所為。
「忘れるんだ、良いな」
忘れる。
そうだ、俺は分かっていた。
だけど俺の言う事を聞かないあいつらに、お仕置きをしてやったんだ。
こんな町、くだらない。
小さな、ちっぽけな町。
面白味の欠片もない、退屈な町。
くだらない、くだらない、
くだらない。
そうして俺は、この町を出た。
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