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その数日後、部下から報告があった。
坑道の最後の部分に爆弾を仕掛けるのを忘れた事と、トロッコにダイナマイトを乗せ、そちらに向けて走らせる事で爆破を完了させるという報告だ。
俺がそれで爆破出来るのかと尋ねると、部下は坑道内の地図の三つに分かれた分岐点を示した。
その真ん中のレールの上にバツ印がある。
部下は、そのバツ印は大きな岩がある場所だと説明した上で、ポイントが真ん中になっていてトロッコはそこに真っすぐ進み、その岩にぶつかる事で坑内が爆破出来ると説明したのだった。
そう、今の俺は正に、その爆破地点にいるのだ。俺の頭と身体は恐怖に支配されていた。
その時、もう一つ思い出した事があった。
その地図の最後の部分で、三つあるレールがまるで切り取られたように同じ地点で終わっているのを見た時に俺がした質問と部下の返答。
「この先は?」
「はい。崖になっておりまして、もしこの岩が無ければ、トロッコはそのまま海に落ちてしまいます」
「確実に真ん中の岩に当たるんだな?」
「それは間違いありません」
最後のこの部下の自信ある返答。もしかするとこいつが、今回の俺の窮地を作った犯人か。
しかし今は犯人よりも、どうにかこの窮地を抜け出す事だ。
幸い、此処にいるのは俺だけではない。あの男も自分の命が惜しいだろう。
ポイントを左にして貰う。
それだけで俺は、俺達は助かるのだ。
俺は目の前にいる男に、簡潔に、しかし分かりやすく今の状況を説明し、ポイントを左に倒すように頼んだのだった。
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