65人が本棚に入れています
本棚に追加
(じゃあここは、何なんだろう?)
考えても、頭がガンガンと痛むだけで答えは出てこなかった。
「あたしは、誰?」
小さく呟いたはずなのに、部屋中に響き渡る大きな疑問。
本当に何にも思い出せないんだろうか?
名前、年齢、家族。
わからない。
ただ、一つだけ思い出せるのが、このフレーズ。
「楽しいことを作る」
いつかは分からないが、自分が言った言葉、だと思う。
将来の夢だったのだろうか?
それとも、目標か何かだったのだろうか?
やっぱり、頭が痛くなるだけだった。
「はぁ・・・」
静かな部屋に一人で寝ていると、心細くなる。
今自分が何処にいるのかもわからない。
誰か支えてくれる人がいる訳でもない。
そもそも自分すら誰か分からない。
「無いものだらけじゃん」
ふと、我慢してた筈の冷たい物が、堪えきれずに頬を伝った。
最初のコメントを投稿しよう!