65人が本棚に入れています
本棚に追加
「んん……っ」
瞼を開けると目に入ってきたのは、晴れ渡る蒼い空だった。
(あれ・・・・・・?)
あたし、どうして外に居るんだろ?
いつの間にか寝ていたらしい。手をついて起き上がると、際限なく広がる草原が目にはいる。
何故だろう、頭がガンガンと痛い。
…それに、おでこの辺りに違和感がある。何かくっついているみたいだ。
さりげなく触れてみると、何かベットリとした感触の物が手に触れた。
(な、なんだろ……)
「うわぁっ!!!」
手を顔の前に持ってくるとそこには、少し黒ずんだ赤いものが大量にくっついている。
……これは、血だ。
(ちょ、え、なんで?どうして?)
全然分からない。思い出そうとすると、頭の奥のほうがズキズキと痛む。
って、あれ?そう言えば……
あたしは、恐ろしい事に気がついた。
(あたしの名前、何だったっけ?)
ちょっと…………待って、
(………どうしよう!お母さん……思い出せない、お父さん……思い出せない、住所も思い出せないし友達、年齢、誕生日……思い出せないっ)
どんなに考えても考えても思い出せない。頭がズキズキとする。
(嘘でしょ?!なんで?!なんで自分の事が分からないの?!)
呆然としていると、ふと、こんなところに宛もなく座り込んでいる自分が情けなくなり、泣きたくなってきた。それに、凄くイライラしてきた。
(意味が分からない。ここは何処?あたしは何物?あーもうなんでこんなに頭が痛いの?イライラする!すっごくイライラする!)
なんでもいいから兎に角投げたい。丁度手の辺りに落ちていた物を拾い上げる。
石かと思ったそれは、どうやら鉄のようだ。四角くて、重みがあった。
あたしは立ち上がり、少しクラクラするものの何とか耐え、ソフトボールのように腕をぐるぐる回す。
「はぁあっ!!!」
声を出すと同時に手を開くと、結構重かった鉄の塊だがそのまま勢い良く fly away した。
最初のコメントを投稿しよう!