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「旦那、旦那、」
「・・・・・・・・・んへ?」
うっすらと目を開くと、お婆さんがあたしの顔を覗き込んでいた。
「大丈夫かい?ずっと目が覚めないから心配したんだよ。」
「・・・え?・・・えっ?」
今一現状が呑み込めない。
「さっさとその手をどかしておくれよ、あたしにゃそんな気は無いよ?」
(手・・・・・・?)
あたしはケーキを掴んでいた筈の右手を見る。
と、そこはがっつりお婆さんの胸の辺りだった。
「what?!」
ついつい英語で叫ぶと、あたしは光の速さで手を離す。
「ごめんなさい、ほんっとにごめんなさい、あたしにもそんな気はさらっさら無いですっ!!」
(ヤバイな半殺しにされたらどうしようかな)
あたしの頭はパニックに陥る。まさかケーキをゲットした瞬間にこのような事件が勃発するとは、予想外すぎる。
「なぁんだ、そうだったのかい、残念だねぇ……、と、それより、頭は大丈夫かい?」
本当に残念だと言いたげな表情をしたお婆さんは、横に置いてある桶のような物に手を突っ込んみながら話しかけてくる。
「うーんと、多分元々大丈夫じゃなかった気がします、ってそうじゃないか、うーんと、はい、特に痛みとかは無いですが?」
「そうかいそうかい、そりゃあ良かった。」
一瞬何の事を言われたのか分からなかったが、自分が頭にケガをしていたのを思い出した。
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