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晴れ渡る造られた空の下、汗の染みた学生服を身に纏う金色の髪の少女は、人気の無い校舎と校舎の間の狭い路地を全速力で駆けていた。
特徴的なぱっちりとした目に、モデルのようなスラッとした体形、そして豊満な胸。男子なら誰もが好意を抱くであろう。
そんな少女も長いこと走っているせいか、その整った顔の至る所から尋常ではない量の汗を掻いている。彼女は走りながら、日頃の運動不足を呪った。
だが、すぐにそんなことも気にならなくなった。彼女はただ走る。まるで、恐ろしい何から逃れようとしているかのように。
「ハッ、ハッ、ハッ……こ、ここまで来れば」
しばらく走って、ようやく狭い路地の出口が見えて来た。少女は息を切らしながら、後ろの様子を探るために振り返る。
ここまで来たらもう大丈夫。彼女はそう思った。
だがその瞬間、少女は足元に置かれていたバケツに躓き、勢いそのまま豪快に地を滑った。
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