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「そういえば…
休憩中のところ、邪魔してしまってすみません…」
保健室に来たことに
少し後ろめたさを感じる美郷。
それもそうだ。
向こうから恋愛対象になど
100%見られてないとしても
一応友だちの好きなひとなのだから。
愛「君、自分に自信もってないね」
………え?
シャッ、とカーテンをひいて
ベッドを降りる彼の姿は
なんだかとても神々しくて
まぶしい気もして
直視することができなかった。
そのまま去ろうとする愛樹を
美郷は決死の想いで呼び止めた。
「まってください!!!」
愛樹はぴたりと立ち止まり、
しかし返事はしない。
「なんでわかったんですか…?
私本当に自分に自信がもてなくて…」
少し沈黙がつづく。
その沈黙をやぶったのは愛樹だ。
愛「喋ってればわかる。
自信ないやつは全体的にオロオロしてる。
君、ひとを笑顔にすることとかないんじゃない」
それだけ言うと、
愛樹はピシャッと出ていってしまった。
自信がないのが
バレていたことは恥ずかしい。
でも
恥ずかしいだけじゃなくて
何だか心に
グサッときて
まともに呼吸することが難しいような
そんなきもち。
『君、ひとを笑顔にすることとかないんじゃない』
―そうかもしれない。
奈々は違う友だちといるほうが
楽しい気がするし
私みたいな何のとりえもないうえに
太ってて残念なひとなんて
奈々の株をさげてしまうのかもしれない。
考えたく、ないけど。
それでも
考えざるをえなくて
綾沢くんの言葉が
頭を永遠にループしてる。
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