京都護の悩み

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高校二年、夏休みもまだかまだかと待ち続ける六月。 俺は正直に言うと、好きな人がいるのだ。 それは、一つ年上、つまり三年生の先輩の宮野千里さんだ。 もちろん、ただ憧れて遠目に見ているだけじゃない。 漫研に所属していた。 いや、いわゆるオタクってわけじゃないんだ、千里先輩は。 ただ、人が沢山いる環境が嫌いなだけなのだ。 そして、絵が好きらしい。 でも美術部は人が多いから、人がいない廃部寸前の漫研に入ったらしい。 俺?俺は当然―――――。 漫研の一人に決まってるだろう! って言っても俺と千里先輩の二人っきりなんだけどね。 幸い、千里先輩も俺を気に入ってくれた。 千里先輩は、長いウェーブがかかった茶髪で、優しい性格にあった穏やかな慈愛に満ちた目。 スタイルも、かなり良い。 健全な男子には堪らんですよ、はい。 そんな千里先輩が俺は好きだ。 でも、前に進めないでいた。
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