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「ようは校門が閉まる前に学校に入ればいいわけなのだ。わかるか、ひよっ子類人猿?」
「ひよっ子で類人猿って、新生物誕生の瞬間に立ち会えた気分だぜ。その口調からして、このまま諦めるんじゃないよな」
「もちろんだ。貴様みたいな生物とは違う、私は乗り越えてみせるぞ」
スケバン風の少女は走るスピードを速める。
「負けてらんねぇ、こりゃ」
成海も力を振り絞って全力で走り始める。
無常にも校門は閉まっていく、そして赤ジャージはいやらしい笑みを浮かべる。
既に校門は人の入れる隙間すらなくなっていた。
もはや校門の前で立っているのは成海のスケバン風の少女しかいなかった。
絶望的な状況、それにふさわしい。
里芋のような顔をした赤ジャージはまるで絶望に暮れた生徒たちをあざ笑うかのごとく、竹刀を片手に校門を最後まで閉じようとする。
だが、二人は諦めてはいなかった。
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