【1】西河成海という少年

7/7
前へ
/13ページ
次へ
 校庭三十周などという理不尽な仕打ちを受け入れようとはせず、鋼の心で立ち向かう。  そびえ立つ校門を凝視し、両者は同時に踏み込んだ。地面を蹴り上げて天高く舞い上がる。  並みの人間には不可能なほどの高さまでジャンプした二人は、校門を飛び越えて学校の敷地内に着地する。  校庭三十周という残酷な運命を乗り越えた二人を赤ジャージは睨みつける。  二人は確かに校門が完全に閉まる前に学校の敷地内に足をついた。遅刻ではない。  彼らの勝利だ。 「貴様……何者だ……」  スケバン風の少女が訊くと、成海は爽やかな笑顔でこう答えた。 「全世界の萌えっ娘の味方、西河成海だ、覚えておけぃ」 「よし、一瞬で忘れてやるから失せろ」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加