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少女の視界は紅蓮に包まれていた。
ただ涙をこらえながら、ゆらりと立ち上がる。
炎で焼け焦げた白のワンピース、今はすす汚れて灰色になっている。
年齢はちょうど十四歳かそこらだろう。
黒煙が熱風に流されて少女の長い黒髪を揺らす。唇を噛み締めて、少女は体の二倍ほどはあるであろう太刀を構えた。
緑色に光る太刀の刃先、それは機械的な印象を見る者に与える。
「貴様が……お姉ちゃんを殺したのか!」
その口調はまるで男の子のようだった。
黒く鋭い瞳が眼前に佇む死神に突き刺さる、が死神は怖気づきはしない。
「そうだ、八番目はいてはいけない存在らしいからな」
声は音声処理されているらしく男か女かもわからない。
死神は少女よりも少し背丈が高く、黒いフード付きコートを着込んでいる。
顔面は骸骨の形をしたマスクで隠れてはいるものの、骸骨の両眼から見える赤い光点の奥には確かな殺意があった。
しかし、それは少女も同じだ。
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