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獣のような悲鳴をあげた少女は右肩から先がなくなった体を地面へと落として、のたうちまわる。
灰色のワンピースは瞬く間に血しぶきで真っ赤に染まった。炎で熱された地面が少女の体を焼き焦がす。
「はぁ、はぁ……これだ、この感触だ……はぁ。まったく最高なぁ……」
人を斬ったことに対する快感に飲み込まれた死神は、荒ぶった呼吸のまま地面に崩れた少女を見下す。
きっとマスクの下で恍惚の表情を浮かべているに違いない。
「どうやって殺してやろうか」
「あ、ああ……」
対する少女は苦悶し続けているだけで、死神の声が耳に入っているのかも怪しいほどだ。
「痛みに慣れていないと見た。こういう奴には……」
その時、死神の腰にあった無線機から連絡が入ったようで、死神は無線機を手に取ると、
「どうした? 今、殺しの真っ最中なんだが」
『それについてだが、ナンバー8は殺したはずだぞ?』
無線機から漏れている声は男性のものだった。
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