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青春とは素晴らしいと誰かが言っていた。
萌えとはもっと素晴らしい。少年、西河成海(にしがなるみ)は言ったらしい。
昔、近所のお兄さんに武道を教えてもらっていたりしたのもあってか運動能力は並以上。勉強は苦手だが、保健体育だけは得意。趣味はエロゲーとアニメ鑑賞(おもに深夜の美少女もの)。両親とは離れて暮らしている。
―――さて、と。
成海は頭の中で自分という存在を確かめると、前を向いて駆け出した。
「やっべ遅刻だ!」
茶髪でストレートヘアー、灰色のカーディガンを着ておりどこかハツラツとした印象を与える。
成海は急いでいた。
時刻は八時三十三分、学校が始まるまであと二分もない。
目の前に広がるのは急な坂、左側には灰色のコンクリートの壁が右側には成海たちが住んでいる街がガードレール越しに広がっていた。
成海の他にも十名ほどの生徒が、坂の頂上にある校門目指して全速力で走っていた。
この高校は女子生徒の数が多いらしく、セーラー服に短めのスカートを履いていた。
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