【1】西河成海という少年

3/7
前へ
/13ページ
次へ
 その中に一名だけ極端に長いスカートを履いた黒髪ロングの少女がいた。  鋭い眼差し、右手には木刀を、左手にはボロボロのスクールバックを持っている。  袴のように長いスカート、とても走りにくそうだ。  その姿は一昔前に流行っていたという〝スケバン〟を彷彿とさせるものであった。  口には食べかけの食パンをくわえている。やはり遅刻しそうな美少女の定番であるらしい。  スケバン風の少女は成海の右側を並走すると、猫も殺しそうな鋭い眼光で彼を睨みつけるように見つめた。 「ふぃないかほはは(見ない顔だな)」  食パンをくわえているので、はっきりと喋れないスケバン風の少女。 「おっと転入初日から美少女発見!」  遅刻しそうなのに、成海の口調は軽かった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加