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校舎内の長い廊下。放課後であるせいか、ちらほらと生徒はいるが、静まり返っている。
賑やかに話す女子のグループもいなくなり、聞こえる音は僅かに耳に入ってくるグラウンドのサッカー部や野球部たちの声。
そして、この廊下を歩いている二人分の足音。
「涼哉くん、今日暇?委員の仕事終わったら、家来ない?」
隣で歩く少女が問いかける。
香阪涼哉(コウサカリョウヤ)というのが俺の名前である。髪は金髪で不良に見られがちだが、そんなことはない。普通の高校生である。
横に並ぶ少女は幼馴染みの矢埜柊(ヤノヒイラギ)。肩まで伸ばされたストレートの髪は、最近栗色に染められた。
涼哉より10センチほど背が低く、涼哉を見上げる茶色い瞳は昔と変わらず輝いている。
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