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「…可愛い」
彼女は、僕を見て微笑んでいる。
「…ハンカチ、洗って返すね」
「いいですよ、そのままで」
「ダメ。…来週、25日、終業式なの。同じ時間に、来られる?」
また、会える。
僕は反射的に頷いていた。
「じゃあ、約束ね。また、ここで会おう」
そう言って彼女が小指を差し出したので、僕はおずおずとその小指に自分の薬指を絡ませた。
そして立ち去る彼女の背中を、ただ見送っていた。
その後25日…僕は高熱を出して、昼過ぎに家をこっそり抜け出したけど、彼女はいなかった。
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