プロローグ~失恋と初恋~

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どれくらい、そうしていたんだろう。 少し落ち着いたのか、彼女は僕のハンカチを握りしめながら、ベンチの端に座り直した。 座って、っていう意味だと思って、僕は横に座った。 「びっくり…したよね」 横顔を見ると、涙は大分止まっていた。 その顔がこっちを向いたので、僕は黙って頷いた。 「泣くつもりなんか、なかったの。ただ…君の声を聞いたら、急に…」 「お姉さんも、びっくりしたんじゃないですか?」 そう言うと、彼女はまた少し驚いた顔をしたけど、少し微笑んだ。 「君、小学生だよね。随分大人びてる」 「よく言われます」 彼女は、緊張から解かれた顔をしてくれた。
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