始まり

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「・・・はぁ」 こんなに鬱々としてるのは、これが眼鏡を外して気を抜いている素の私だから。 Theネガティブ思考中。 私は目頭のあたりを指で押さえて軽くうなだれた。 ―――コツコツ。 と休憩室に続く廊下に低く響く靴の音。 こっちに向かって歩いて来るなんてつゆも思わずにうなだれ続けていた。 その足音が自分の真後ろで止まったことも、すぐ後ろに人がいることも気づかなかった。 人間の思い込みってものは一度意識から外してしまえば、それが起こるかもしれないってことも忘れてしまう。 私はこの時間は絶対に人が来ないって思い込んでいた。 私に休憩場所の穴場を教えてくれた人物がいることもすっかり忘れていた。 本当に今までたまたま鉢合わなかっただけなんだ―――。
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