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ブー…ブー…。
マナーモード中のはずの携帯がポケットで揺れている。
しまった、今は大事な会議中なのに。サイレントモードにするのを忘れてしまった。
新人の時なら焦っていたに違いないが、この年にもなると会議も私が仕切っている位だし、
少し位携帯が鳴ろうとも、仕事の連絡だと思って私に注意してくる人なんかいない。
8割がた仕事関係のメールだろうと思いつつも、メールマークがディスプレイに表示されるとすぐにそれをクリックしたくなる。
会議後そそくさとトイレに向かい、そのマークをクリックしてみると、高校時代の親友からだ。
馴染みのある久々の名前を確認するやいなや、それと同時に目に飛び込んできたのは
「件名:☆ご報告☆」
の文字。
…
…
返信をせずに携帯を閉じる。あとから仕事が忙しかったとつけ加え返せばよい。
用も足してないのにトイレの流すボタンを押す。
勢いよく無意味にジャーッという水の音が流れた。
この気持ちもこの水と一緒に下水道まで流してしまいたい。
きっと私は会議以上につまらなそうな顔をしているに違いない。
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