「落ちこぼれ風情が……!」

10/19

798人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
  「そのくらいにしたまえ。 休日返上でキミたちの私闘に付き合わされる身にもなってくれ」 審判をしてもらう先生がやって来て、怒り狂って飛び出しそうになったメンバーとトモダチを牽制する。 この先生は、入学審査要項に魔力測定を盛り込むことを推奨する一人で、【色無し】の魔術教育の無意味さを説く現場の人間だ。 僕は先生との親交が深く、今回の『決闘』を行うに当たり、審判を引き受けてもらったのと、 闘技場の貸し切りを実現したのは先生の力による所が大きい。 安全面の関係で、部外者はこの訓練場に入ることはできず、非公開で『決闘』は行われる。 先生と公平を期すために、もう一人の温存派の教師が審判をする。 「申し訳ありません、先生。 僕の不用意な発言が彼らを煽ってしまったのです。 この決闘の結果に関わらず責任は取るつもりです。だから──」 「そこまでせずともかまわん、決闘前に気が立つのは仕方のないことだ。 しかし、冷静さを欠いて一時の情に身を任せるなど愚か者のする事だ。 それを反省しろ。余計な傷を増やすな」 ひいきにされている、と思う者が多いだろうが、先生はこの場にいる生徒に聞かせるように言ったのだ。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

798人が本棚に入れています
本棚に追加