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「そのくらいにしたまえ。
休日返上でキミたちの私闘に付き合わされる身にもなってくれ」
審判をしてもらう先生がやって来て、怒り狂って飛び出しそうになったメンバーとトモダチを牽制する。
この先生は、入学審査要項に魔力測定を盛り込むことを推奨する一人で、【色無し】の魔術教育の無意味さを説く現場の人間だ。
僕は先生との親交が深く、今回の『決闘』を行うに当たり、審判を引き受けてもらったのと、
闘技場の貸し切りを実現したのは先生の力による所が大きい。
安全面の関係で、部外者はこの訓練場に入ることはできず、非公開で『決闘』は行われる。
先生と公平を期すために、もう一人の温存派の教師が審判をする。
「申し訳ありません、先生。
僕の不用意な発言が彼らを煽ってしまったのです。
この決闘の結果に関わらず責任は取るつもりです。だから──」
「そこまでせずともかまわん、決闘前に気が立つのは仕方のないことだ。
しかし、冷静さを欠いて一時の情に身を任せるなど愚か者のする事だ。
それを反省しろ。余計な傷を増やすな」
ひいきにされている、と思う者が多いだろうが、先生はこの場にいる生徒に聞かせるように言ったのだ。
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