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「……落ちこぼれが戻ってきたところでどうなる?」
リザが仮に退学を取り消され、また学園に通えるからといってその先は知れている。
だが、僕の予測する未来とは違う可能性を思い描いているであろう彼らに興味を持ってしまう。
「どうなる、てなんだよ!?
【色無し】て理由だけで、リザがこの学園にいちゃいけないことになるのは、おかしいだろ!
てめえの気分で辞めさせられるなんて理不尽、許せるワケないだろうが!」
彼の叫びにも似た主張に失望する。結局のところ、見える範囲でしか物事を考えられず、自分が正しいと信じて疑わない。
【色無し】の差別撤廃に尽力する父親ならもう少しマシなことを言っただろうか?
あの男ですら【色無し】は魔術を使えない、と認識しているというのに……。
父親自身、一度【色無し】とされ家に殺されかけたが、生き残って魔力が覚醒した存在だ。
父親は自分ような悲劇を繰り返さないために水晶の性能を格段に高める研究と、【色無し】への差別を無くす活動に身を投じている。
父親は【色無し】にも学園へ通う権利を擁護するのに対し、僕はあらゆる力を行使して学園から追い出している。
故に、
理解のない【フリーランド家】の【不出来な息子】と知る者から言われるようになった。
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