「落ちこぼれ風情が……!」

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「キミのような落ちこぼれは早く学園から去るといい。 退学する意志を示すなら、僕が迅速に手配しよう」 目の前の少女に僕はそう言った。 彼女は僕と同級生であるが、 【色無し】──魔力感知水晶に反応がない、先天的な魔力欠落者──と呼ばれる存在。 魔力がないと言う事は学園で学んでも魔法が身につくことはない。 習得が困難というレベルではなく、可能性すら皆無ということだ。 彼女は努力をしていた、無駄であったが。 この学園に残るために魔力がないながら、他の分野を引き延ばした。それは認めよう。 だが、無駄なのだ、無駄な努力、無駄な労力、時間の無駄。 彼女は女に興味を持てない僕から言っても、「美」のつく部類に入る容姿をしており、周りの「トモダチ」が引き留めていた。 故に、彼女は人一倍の努力をしなければ成らなかった。報われることの無い努力を一年以上続けてきた。 このまま、二、三年間ずっと卒業まで無駄な時間を過ごし、周りの人間が去っていくであろう未来は簡単に推測できた。だから、 「『嫌だ』と言うなら、これからも『トモダチ』ともども嫌がらせは続けるし、キミへの催促は止めないぞ?」 彼女が学園を辞めるまで徹底的にやらせてもらった。
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