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リザは数日後学園から去り、自分の家からも出て行った。
家族との関係も上手くいっていなかったらしい。
ロクな内情調査もせず、学園を退学するよう迫ったのは詰めが甘かった、というか、早計であったと顧(かえり)みることになる。
屋敷の者を使ってリザを探させ、彼女の努力に見合った、これからも努力をしていたであろう時間から算出した価値に相当する物を用意し届けさせた。
彼女は賢いから、僕の贈り物など大して役に立たないだろうが、意志の強き者への敬意と心ばかりの謝罪の意を込めたつもりだ。
最初から僕はこんなことをするつもりはなかった、と言っておこう。
何故、僕が彼女のその後を知り得、余計な世話まで焼いたかと言うと、彼女の『トモダチ』が大挙して僕の所へ押し掛けてきたのだ。
一部から「取り巻き」だの「幹部」だの「側近」だの言われる、
「胡麻スリドモ」が近くにいたものだから、数的には対等であったので向き合う形となったのだが、
一人であれば間違いなく、五体満足……生きていられるか、と思うくらい彼らは殺気立っていた。
「僕に何か用かな? 次の授業まで時間がないのだが……」
要件など聞くまでもないが、僕は彼らにこう聞いてやらないといけなかった。
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