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「──それとも、キミたちの美しい友情を証明するために、みんな降参するかい?
そうすれば僕は落ちこぼれを──」
愉快そうに身振り手振りを交えてお道化(どけ)た態度で、
この場にいるリザのトモダチとメンバーたちに提案しようとして、左頬を思いっきり殴られ転げてしまう。
やれやれと呆れた態度で砂ぼこりを払い、切れた口から出た血を拭って、更に言葉を続ける。
「人の話を遮るのは失礼だと教わらなかったかな?」
「うるせぇ! 八百長なんてやらねぇよ! そんなんでリザの処遇を覆したって意味はねぇよ! 俺たちの力でリザを取り戻してみせる!」
トモダチの一人、短絡的で直情型の熱血漢が怒りに声を荒げながら啖呵を切った。
メンバーも僕の演技に侮蔑して一歩退いていたのに、「俺たちが負けるワケがない」とも取れる発言に、
「人の運命が関わってるのに、安直に言い切るんだな、お前らは……」
先程まで互いを尊敬し認め合っていたのが、一触即発の状態になっている。
メンバーたちも、大人に気に入られなかった、というだけで実力はあり、それを誇りに思っている。
不用意にも彼はメンバーのプライドを踏み躙(にじ)ってしまい、僕の意図しない状況に陥るが結果的に目的は達せられた。
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