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-暗い森-
あるところに
一人の娘がいました。
彼女は見た目は大人だけど
心は少女のまま。
ある日、一羽の鳥が
彼女に、とても美しい声で呼びかけた。
一緒においでと
疑う事を知らない彼女は
美しい声に誘われるまま、気付けば森の奥深く。
一羽の鳥は
彼女を残し、何処かへ消えてしまいました。
どこに行ったの?
必死で探しても
見つかりません。
美しい声に導かれるまま、ついて来てしまった彼女は
帰り道も解らず
さまよい続け
いつしか、もっともっと暗い場所まで
迷い込んでしまいます。
『鳥さん、鳥さん
何処へ行ったの?』
いくら問い掛けても応えはなく
『鳥さん、鳥さん
私を一人にしないで』
声が枯れるまで叫んでみても
聞こえるのは
深い森の木々達の
ざわめきだけで
一人ぼっちになってしまった彼女は
孤独と不安で泣き叫ぶ。
『誰か助けて…』
『誰かここから連れ出して…』
声にならない声で
叫んでも
彼女を迎えるのは
暗闇ばかり。
「あの美しい鳥は、私を暗闇に迷い込ませる為の、偽りの姿だったのね」
気付いた彼女は
自分の愚かさを悔やみました。
今も、深くて暗い森の中
彼女は光を探して
さまよい続けています…
そう、これは
ハッピーエンドの物語ではなく
今も迷子の一人の娘のお話。
悲しくも、愚かな
娘のお話。
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