第壱話 弔歌-トムライウタ-

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ガチャッ 「誰だ!?」 いきなりの扉の開く音で我に返る、サン。 振り向くと、幼馴染みの風音マナがいた。 「あ…マナ」 サンは、安堵して、コンクリートに寝転がる。 「クスッ。 サンちゃん、殺気すごいよ(笑)」 マナは微笑んで、言った。 そして、サンの隣に来ると、三角に座る。 暫し、二人は無言で空を眺めていた。 午後の風が、マナの長い菫色の髪を撫でる。 「此処、すごく落ち着くね」 マナが、風に靡く髪を耳に掛けながら、微笑んで言った。 「ああ…。 当然だ、此処は…」 「「入学した当初からの、私の場所」」 サンの言葉に言葉を重ねて、マナが言った。 驚いて、サンは起き上がり、マナを凝視した。 マナは、サンの方に顔を向けると、 「でしょ?」 微笑んだ。 「ああ…。」 呟くように短く返す、サン。 「私ね、サン。 此処を出ることにした。」 「そう・・・。」 「サンは?」 「私は…」 サンは、暫く、考え込んだ。 卒業後の自分の進路を…。 進学するなら、唄守村を出ないといけなくなる。 唄守村には、小学校と中学校が一貫となっている小さな学校はあるが、高校や大学、専門学校がないからだ。 しかも、校舎は小さく、教員の数だけで、生徒数は、小学部14人、中学部15人の計29人しかいない。 「・・・まぁ、まだ、決まらないよね。 サンは、奏音神社の事もあるし…」 マナは、俯きがちに言った。 マナの気持ちが解っているから、答えが中々出てこない。 確かに、マナと同じ高校に行けたら────── サンは、マナの頭を撫でると、立ち上がった。 「そろそろ、教室に戻るぞ。 次、手長猿の授業だろ。」 そう言って、マナに手を差し出した。 マナは、笑ってサンの手を取ると、立ち上がる。 「うん!」
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