第壱話 弔歌-トムライウタ-

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───in教室 サンとマナが教室に入った時は、既に授業が始まっていた。 「・・・ 何、このグループ」 サンは、呟いた。 サンの呟きに賛同する、マナ。 「あ! サン様、マナ!!」 黒髪の眼鏡をかけた男子がサンとマナに気付き、声をかけて、歩み寄ってきた。 「委員長…。 このグループ、何?」 サンは、委員長と呼んだ男子に、訊いた。 「今ね、進路について話し合いしてるんだ。」 「ふーん。」 サンは、そう返すと、教室を出ようとした。 それを阻むように、校内放送が流れた。 《中学部三年、奏音サン、至急職員室に来なさい。》 クラス中に、ざわめきが走る。 「サン…」 マナが、サンに視線を向ける。 サンは、面倒くさそうに舌打ちすると、教室を出た。 ───in職員室 サンは、職員室にノックせずに、入った。 「何?」 職員室に入ると、担任が神妙な顔でサンを見つめた。 無言に耐え兼ねたサンは、職員室を出ようと、担任に背を向ける。 「待って、サン。 話を…聞いて」 担任は、サンの腕を掴んで、サンの退室を阻んだ。 サンは、いつもと違う担任の態度に、担任に向き合った。 「サン… ラン様がね… 急逝なさったそうよ」 「!!」 担任の報告に、動揺するサン。 その動揺を悟られない様に、サンは、ポーカーフェイスを無理矢理作る。 「サン? 大丈夫?」 担任に顔を覗き込まれ、我に返る、サン。 「あ…大丈夫だ…。」
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