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「おいで、」
「うん」
僕の前に差し出される、大きな手。
無邪気だった僕はなんのためらいもなく、あなたの手を握りしめて笑うんだ。
「チャンミナ、おいで」
今でも僕に差し出されるあなたの手。
けれどもう、僕の方があなたの手よりも大きくなってしまった。こんなにもあなたの手は小さかっただろうか。
僕がその手をとることは、もうない。
「…僕はもう子供じゃないんですから、」
うそつき。
僕はわがままな子供。
でも、だって、違うじゃないですか。
あなたが手をさしのべるのは、
僕じゃない。
…その真っ白な指、なんてあなたにふさわしい。
大切なんでしょう?大事にしないと。
だからね、いいかげん僕に構わないで。
僕のこの名前のつけられない気持ちは、宝箱の中に閉まっておくから。
あなたは、幸せになって下さいね。
(大好きな大好きな兄さん、
あいしているよ。)
あと何秒したら、あなたを忘れることが出来ますか?
きっと永遠に、忘れられないんでしょ?
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