その1

6/14
340人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
  目の下にクマを作った顔で、へらっと笑う。 「…顔にキーボードの跡ついてるけど」 「えっ!嘘!?」 無精髭のはえた顔に、慌てて手をあてている。 「お風呂、沸かしてあるから、入ってきたら」 「え、ありがとう。 そういえば、ここも掃除してくれたんだ?」 今さらリビングを見回して、申し訳なさそうな顔をした。 …相変わらずのヘタレ。 だらしなくて、無頓着で、世話が焼ける。 「佳奈ちゃん、ごめんね?」 ソファの前に来てしゃがみこんで、私の手を取る。 よく見れば、本当はそれなりの顔立ちをしているのに、本当にもう色々台無し。 .
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!