ある高い丘がありました。

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この高い丘から眺める景色は心を掻き回されてるような気になる。 何故か、切なくなる。 それもこれも、何ヵ月か前に見た少女の影響だろう、少女はただならぬ雰囲気だった。 不思議と苦しそうなのに表情にはあまり出てなかった。 …やらなければいいのに、声をかけてしまった。 少女はハッとするわけでもなく、ただ薄く笑っていた。 【待っているの】 そう言ってはこの場を立ち去ったのだ。 これはもう困惑せずには居られないだろう。 少女を忘れられない自分がいるのにはほとほと呆れる。 今まで周りに興味などなかったのに… それから飽きることなく毎日ここに来てる。 少女は、確かにここの風景を眺めていたのだ。 待っていた、何かをこの場所で…。 来ることは叶わなかったのだろうか。 「また、会ったね」 小さな声だが確かに耳に届いた。 自分の心臓が高鳴る。 後ろを向けばそこに居た。 「…待っているものは来た?」 少女は首を傾げて、ううんと言った。 「来れなくなっちゃったらしいの」 だから、帰ってしまったのだろうか。 相変わらず、彼女は表情に変化があまり見られない。 彼女は話を続けた。 「私はここが大好き、でも変わっちゃった…そして、私が大好きなものはどんどん失われていった。何年もたったら当然のように変わっちゃった。でも、私はここが……」 ふっと顔の表情が少し曇った気がした。 変わっていくものが奪い去る。 「…作ろう、また再生させよう」 まだ終わっちゃいない。 「え…?」 「これから、また作ればいい好きになればいい。変わっても変わらなくても関係ない忘れられなくても忘れても、これからがある限りは作れる、好きになれる」 愛せるだろう? 好きになれるだろう? 好みじゃなくたって…そこに諦めることの出来ないことがあれば出来る。 「……あなたは…」 少女は初めて泣きそうな顔をした。 そして、久しぶりの涙を流したのだ。 「あぁ、輪廻…繰り返しだね」 嬉しそうに笑い、静かに泣いた。 「一緒に歩ませて」 少女は、憂いない涙でそう言った。 確かにそれを頷いて答えた。
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