プロローグ

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「やっと夏休みだー!!」 終業式の後のHRが終わり 担任が教室を出た途端に 私の前の席に座っている親友の真理が、 大きく伸びをしながら嬉しそうに大声を上げている。 「ねぇ、結衣は夏休みどっか行くの??」 大きく伸ばした腕を下におろしながら振り返り、真理が聞いて来る。 「んー…この夏休みはバイト頑張って、お小遣い貯めたいんだよね。 ちょっと欲しいものがあって。」 きょとんとしながら真理が 「え?何買いたいの?」 と私を見つめている。 「えっとね、自分専用のオーディオシステム。 ちゃちぃのじゃなくて、本格的に アンプとかスピーカーとか 全部チョイスして作りたいの。」 真理がニコニコしながら 「結衣は、音楽好きだもんねぇ。 でもさぁ、女子のくせして 本格的なオーディオシステムが欲しいとか、 なんか笑えるし!」 真理の言う通り、 私もなんだかそんな気がして 二人で笑った。 自転車置き場まで真理に 熱く自分の組みたいオーディオシステムについて語り続けながら向かう。 若干真理に引かれ気味だったが 私たちの自転車の所に行くと 同級生の佐伯君が待っていた。 「お、お疲れさん!」 佐伯君は、真理の中学3年からの彼氏で 私と真理と同じ中学からこの高校に入学した。 ただ私と真理は商業科、 佐伯君は普通科で校舎が別々になっているのでなかなか学校内で会う事はない。
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