泥沼中期

27/49
前へ
/160ページ
次へ
夜中にお腹が痛くなった。 産院で教わったように10分感覚に なった時まで様子を見た。 彼に電話すると、すぐに帰ってきてくれた。 産院に行くとあの時の看護士が あたしの持ってきた、荷物を見て 「荷物が多いわね」と それだけ言った。 看護士達が詰め所で患者をネタに おもしろおかしく笑ってるのは 知ってる。あたしみたいな患者は 既婚者の看護士から見たら憎悪の塊だろう。 自分で招いた結果だけれど ちゃんと、母子手帳に父親の欄を 書ける同じ妊婦が羨ましかった。 新生児を見れるガラス窓越しに 毎日のように両親や親類が 満面の笑みで新生児を見つめる。 あたしの赤ちゃんは ひっそりと誰に祝福される訳でもなく、生まれてくる。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1767人が本棚に入れています
本棚に追加