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彼女も私の方を向いて立ち止まっていたけど、やがて無言のままゆっくりと歩き出した。
そして公園まで来ると、ベンチに座り、私にも座るように促す。
このまま毎日わけもわからず関わられるのも嫌なので、私は素直にベンチに腰を下ろした。
そして風がさわさわと吹く中、彼女の言葉を待つ。
「……華山さんはさぁ……すごいよ」
彼女は唐突にそう言った。
「それは……聞いた。別に勉強ができるからすごいとかいうわけじゃ…」
「そうじゃなくて」
私の言葉を最後まで聞くことなく遮った彼女は、私の方に顔を向けた。
「いつも一人で本を読んでて、周りと関わらなくても、嫌われても大丈夫っていう強い心が……すごいよ。
自分を持ってるって感じで。
だから……もっと華山さんのこと知りたいって思って、話しかけてみたの」
彼女には私がそんな風に映っていたのか。
でも、
「私はそんな大層な人間じゃない。
関わりたくないだけ」
そう。
ただ……人と話したくないだけ。
自分を持ってるとか、そういうレベルの話じゃない。
「それでも……私よりはましだよ」
彼女はいつもとは違い、
自信なさげな声を発して俯いた。
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