弟想いの兄の頑張り

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神様っつーのは理不尽でさ 幸が沢山ある奴程幸を増やし 不幸を少しずつ増やす 幸が少ない奴程 幸が来るのが遅ぇんだ いや、俺が「幸が少ない」とグチってるんじゃねぇぜ? むしろ俺は多いと思う あいつが居る限り あいつっていうのは俺の弟のことで。 俺の唯一の肉親で。 「守るべきもの」「俺の唯一の幸」というステータスを無条件に生み出している奴。 そいつ(と、俺)が生活に困らないよう、俺は働いているんだ 幸が少ないってのは、あいつの方だ。男二人で住むのだってヤだと思うし、何よりまだ小学生のあいつが親の死を容易に受け入れられると思えない 残念なことに、俺の悲しさは全くの皆無だ。DVとかあったし。 どっちかっていうと、あいつに害が無くなってホッとして位だ。犯人にむしろ感謝してるしな。うん。 それにしたって犯人って見つかんねぇもんなんだな 目撃者もいねぇし 見つかったらお礼言いてぇのになぁ つか、話ズレまくりだし。ま、言いたいのは、俺の不幸は徐々に近づいているってこと 俺、今、幸せだし? 家に帰ってあいつら(両親)もいない、弟が「おかえり!」とか言ってくれて。 二人で飯食って あいつが寝た頃にまた仕事に行く、ってね。 今日の晩飯、何にすっかなぁ…久々に、鍋でもしようかな? 「おかえり、お兄ちゃんっ!」 「おぅ、ただいま。今日は鍋だぞ」 「え、やったぁ!」 喜ぶあいつに「宿題しろよ」とだけ言い、台所へ。 さて、まず大根を…何コレ。包丁…血の付いた?怖っ 「おい、やまと!お前、ちょっと来てみろよ!」 「何~?…あぁ、コレ、僕が肉切ったからだよ」 「…なんだ…ビビらすなよ…」 「ゴメンゴメン!後で片付けておくよ」 翌日、包丁は新品をやまとが買ってきたのを兄は気づかない
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