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季節は、夏。 なんじゃないかな。多分。 7月って、夏だよね。 とてつもなく暑くって、蝉がうるさくて、体中に生温かい水滴がまとわりつくような、そんな季節なんだよね。 しばらく夏というものを肌で感じていなかったから、覚えてないや。 「ああ、暑いな…」 「はい?」 目の前の友達に怪訝な目で見られた。 「いや、ね。外の人は今頃そんなこと呟いてんのかなぁ、と思って」 友達が小さくため息をついた。 「いいよー……そーいう余計なことしなくてー」 彼女は栗林 千衣(くりばやし ちい)。私が唯一友達と認める人。 「まあね」 「うあ、冷めちょる」 私は神林 黒白(かんばやし こはく)。まあ、変わってるのかな。多分。 ここは学園、といっても他の学校とはかけ離れている。
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