全ての始まり

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【ガルディア帝国帝都メテウス】 マリダスでも数少ないXランカーであり帝国最強と謳われるこの俺、ソル・ラトスは、長めの赤色の髪をワックスで軽く整えて、広大な街を見下ろせる程巨大な建物から突き出ている横幅20m程の場所に立っている。 体は闇夜よりも深い漆黒を基調とした軍服を纏い、その上には軍服と同じ漆黒で塗り潰してあるローブを羽織っている。そのローブの後ろ、つまり俺の背中の部分には、赤色で“帝”と刺繍されてある。 そんな俺の数m斜め前に立つ一人の中年男性、ハーバス・ライント元帥が数十万人……いや、数百万人の民衆の前で特に緊張をしている様子もなく声を発している。 俺の後ろには、約1mの銃に刃渡り30cmの短剣を装着した兵士や、腰に一般的な剣を身につけている兵士達が同じ場所を行ったり来たりして巡回している。 「我が帝国は、この世界、マリダスを支配する覇者である。 それを妨害する者は敵として認識しなくてはならない。 帝国に従い、力を貸す者には、手厚い歓迎をし、共に繁栄を迎えるべきである。 しかし、その為には世界に帝国の力を見せ付けねばならぬ。 その方法はただ一つ。戦争を起こし、勝利を勝ち取ることである!」 ハーバス元帥がそう力強く言葉を放った瞬間、民衆のボルテージは一気に最高潮に達し、この巨大な城ですら地響きで揺れているのが体で感じ取れる。
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