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その後もハーバス元帥の演説は続き、終わった時には民衆の周りには溢れ出した魔力が漂っていた。
そして今は城の内部の細い廊下を一人でとある理由があり歩いている。
その理由とは、ハーバス元帥の御呼び立てだ。何故だか演説が終わった際に呼び止められて、後で自室に来るようにと言われた。
これから戦争が始まるってのに一体何なんだ?
疑問なら幾らでも頭の中に浮かび上がってくるが、それ相応の答えは一つも出てきてくれない。
そうしている間にも俺はハーバス元帥の自室との距離を着々と縮めて行き、とうとう部屋の前に到着してしまった。
俺は今一度服装を確認し、緊張を和らげる為に二回深呼吸を行う。
よし、行こう。
俺の身長の四倍は有ろうかという大きな扉を右手中指で軽く三回叩く。
「ガルディア帝国帝都第2防衛師団総指揮官ソル・ラトス大将。
ただいま到着致しました」
自らの所属部隊、名前、階級をいつも通り言い終え、一先ず緊張が解かれる。
「入っていいぞ」
中からは威勢のあるハーバス元帥の声が聞こえてくる。その声によって再び緊張をし始めた俺は、背筋を伸ばして部屋の扉を開ける。
もちろんこんな巨大な扉を開けるのだから腕の力を魔力で何倍にもしてある。
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