プロローグ

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「な、なによ~ひっく」 翔太にはこの辛さが分からないの?悲しくないの? 「ほらほら、いい加減にしなさい。姫乃とおじいちゃん、ご飯よ」 今度はお母さんの戸倉 楓(とくら かえで)が現れた。お母さんは二十歳に見える程若々しい。 「ひっく…お母さんは悲しくないの?」 私は泣きながら言った。 「はぁ、昔から涙もろいわね」 お母さんは呆れた様子で出て行ってしまった。 「うっっ……お師匠様、どうして皆泣かないのでしょうか」 「ふむ、わしには分からん」 分からないのかよ! 「おーい、姫と爺ちゃん、早くしないとご飯無くなるよ」 そう言いながら現れたのは戸倉誠二(せいじ)、髪はツンツンしてて背も高くてかっこよくて優しいお兄ちゃんだ。 「あ、お兄ちゃん!すぐ行く」 ちなみにご飯がすぐ無くなるとは家は超貧乏な為、ご飯は一人一杯、おかずは大体が卵かけご飯だ。 え、無くならないじゃん?……実は月に一度、食卓にプリンが3つ並ぶ。 そう、早いもの勝ちなのだ。 前回はお師匠、お兄ちゃん、お姉ちゃんが取った。 だから今回は絶対に取ってやる。
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