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次に彼女に出会ったのは昼時だった。出張先でたまたま見かけた喫茶店の一番奥の席に、彼女はいた。
ゆっくりとティーカップを右手で持ち上げ、それをゆっくりと口に付ける。
気づけば達也は入口の前で立ち尽くしていた。
彼女の姿が、まるで自分を待っているような、そんな気がたまらなくするのだ。
そして達也は彼女の下へ近づいた。少し歩くと、彼女は達也に気づいて、驚きながらも軽く会釈をした。
「どうも…」
達也が言うと、彼女はせっせとティーカップを置き「どうぞどうぞ」と達也を向かいに誘導した。
「偶然ですね‥またお会いするなんて」
達也が座りながら話すと、彼女は奇妙なことを口にし出した。
「私、今日が誕生日なんですよ?25回目のね‥あなたもでしょ?」
なぜそれを‥
達也は急に奇妙な気分になり、その言葉と彼女に恐怖すら覚えた。
「あなた去年の今頃、足を骨折したでしょ?冬にはインフルエンザにかかった」
当たっていた。
「え…あのなんでそれを‥?」
「私も同じことが起こったからよ‥私自身不思議でたまらない、あなたを見た瞬間分かったのよ…同じだって」
達也も彼女を一目見た瞬間、何故か不思議だった。運命を感じたのだ。
しかし達也には、彼女とまったく同じ人生を歩んでいるなどとは思わなかった。
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