前奏

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『さあ、皆さん!今日も祈りましょう───』 汚い街の広場に不釣り合いな巨大な液晶画面が、今日も叫んでいる。しかし、祈る者ほとんどはいない。少なくともこの広場でその‘なにか’に祈る者は二人しか居なかった。 その横で門番の用に佇む二人。その二人が跪き、空に向かって声高らかに叫ぶ。 「神よ!今日も我々に朝を与えて頂き有難う!!神よ───」 これだけ聞いていれば、二人は熱心な信者である。しかし彼等の風貌はどちらかというと、キリストや仏を信じるよりも、鉄の筒から放たれる鉛玉の方を信じていると言われた方がしっくりくる。 要するに彼等は堅気の人間には、とても見えないのだ。勿論見た目で全てを判断出来ないのだが。 事実、彼等は堅気の人間ではない。そして、十字架に張り付けられたロングヘアーの男や、一昔前の悪のステータスの一つであるパンチパーマに酷似した髪の男などの類いを、これっぽっちも信じていなかった。
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