無重力

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隠れてないで出ておいでよ またひとりで泣いていたの そんなに縮こまっちゃって 太ももとお腹がくっつくよ 君はいつもひとりで泣くね 誰にも気づかれないように 誰にも聞かれないようにと どんなに存在を殺したって 君は消えたりしないのにね 「もう嫌だ」と泣いている 君は少し疲れたんでしょう 取りこぼした物が多すぎて 見るのも辞めてしまったの 部屋のノックは無視をして ひとりまるくまるくなって 浴室に閉じこもるでしょう 外界は全てシャットアウト 隙間は開けたままなのにね ゆっくりひらいた嘘の中は ちょっとはほぐれたのかな ぬるま湯の湯加減はどう? 火傷しないくらいがいいね また少し前を向けるくらい 温かな世界にいられたかな もし君がまた傷ついたなら 何度でも無重力を味わえる 君が少し、大人になるまで
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