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眼鏡を掛けて出かけた朝は
世界の境界が鋭すぎて
自分が切りだされたような気持ちになるんです
まぶしい午後の光と夕焼け
真っ直ぐのびた影法師でさえ
自分の存在を浮き彫りにするんです
あのビルも橋もコラージュみたい
ペラペラの平面がどこまでも続いていて
その中に写真になった私が貼り付けられています
もういいやって外した頃には
太陽が微睡む時間帯
工場の屋根と空が同じ色をしていて
群青の空気が海まで巻き込んで
なんだか、ただいま、って言いたくなるんです
世界を捉えるには
輪郭がぼやけたくらいが丁度良い
だって海に浮かぶ人工の灯りですら
じっと見詰めているうちに
滲んで馴染んでくるんですもの
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