mission 1:電闘者<ダイバー>

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東京都 お台場海浜公園 俺はくすんだ黒い髪を整え、海沿いの歩道を走っている。 洗濯したばかりの夏用の制服からはミント系の爽やかな匂いが心地いい。 額からは油の混じっていない比較的サラッとした汗が流れる。 季節はもう夏。 どうりで暑いわけだ。 だが、2年前よりはましだ。 二年前、地球温暖化の停止。 なぜなら従来のソーラーパネルを上回る『エネルギーアッパー』という新しいソーラーパネルが開発、実用化されているからだ。 なにも従来のソーラーパネルのエネルギー生産率を遥かに上回り曇りの日でも太陽が発生させる磁場をエネルギーに変換できるらしい。 さらに値段も比較的に安価だ。 だが、その他の自然災害は終わっていない。 まぁとにかく今は説明よりも現実に戻さないとな。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」 俺はギリギリで学校に間に合った。 この俺、紫電悠哉は高校一年。 ここ東京のお台場にある東京都立神八咲高校普通科に通っている。 東京湾海上の人工島に建設された生徒数2000人の高校でダイバーと呼ばれる奴らを教育する学科があることで有名だ。 まぁ俺には関係ないけどな。 俺達はニューレインボーブリッジの通学路を通り小島に入る。 「はあぁー。何とか間に合ったー」 俺はなんとかギリギリに校門に走り込み遅刻から逃れられた。 俺の回りには部活動の人達が新入生に勧誘活動をしている。 こんなに暑い日にご苦労なこった。 俺はその光景を横目に見ながら学校の正面玄関にある大きな電子掲示板の前に立ち止まった。 実を言うと今日まで俺達、新入生は入学式の次の日、合同合宿でアメリカに居て、昨日帰ってきたばかり。 クラス分けは今日発表されるみたいだ。 「えーっと。俺のクラスは・・・・・」 俺はレーザー照射されたクラスわりを見ながら自分の名前を探す。 「おーい!悠哉!」 後ろを振り向くと黒い髪を逆立てて首にチタンのネックレスをはめた生徒が手を上げて走ってきた。
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