mission 1:電闘者<ダイバー>

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夕暮れ 通学路 俺はあれから授業を受け、帰宅路を歩いていた。 「学習塾『善協剣』でーす!今なら入会料一ヶ月無料です!今から進路に向けて勉強しましょう!」 俺は帰宅路の途中、学習塾のチラシをお姉さんから渡され不用意にも取ってしまった。 「しまった。あそこはスルーすればよかったな。」 俺は学習塾『善協剣』のチラシにさらっと目を通した。 いかにも普通のチラシだ。 「貰わなきゃ良かったな。どうせハエ叩きの道具に変わるだけなのによ。」 俺はそう言いながらチラシをシワが入らないように鞄に入れた。 そしてサヴァブにインストールした音楽を流した。 今流行りの現役女子高生歌手『メモリア』の新曲だ。 ゆっくりとした聞くものを暖かく包み込むような優しい歌声。 俺は夕日を見ながら『メモリア』の曲を聞くのが日課だ。 「相変わらずいい歌声してるな。」 俺はメモリアと面識がある。 まぁその事は後々話すとして。 気づけば独り暮らしをしているアパートの近くにある商店街を歩いていた。 言ってなかったが俺はわけあって東京で独り暮らしをしている。 まぁバイトをしながらの生活で苦労するけどな。 自炊はなんとか自分で一通りはできるため今の生活で満足している。 「あれ?悠哉じゃない。お帰り。」 俺が歩いていると肉屋の方から女性が駆け寄ってきた。 容姿はオレンジ色の長い髪に蒼眼で可愛い顔つきをしている。 こいつは北川美桜(キタガワ ミオ)。 小学校からの幼馴染みで俺と同じ神八咲高校に通っている。 性格は優しい。けど極度の世話焼き。 「よー美桜。お前、肉なんか食ったらまた太るぞ。」 「よ、余計なお世話よ!というか辰巳君とは一緒じゃないの?」 「辰巳?あぁ今日は遅くなるってさ。美桜は買い物か?」 「え?あぁうん。母さんに頼まれてね。」 買い物袋の中にはじゃがいも、人参、玉ねぎ、それと牛バラ肉。 どうやらカレーみたいだ。 「なるほど美桜の家はカレーか。」 「え?よくわかったわね。」
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