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理事長室
ガララッ
奏翔「失礼します。お呼びでしょうか、理事長。」
中に入ると、理事長はソファに腰掛けながら何やら本を見ていた。
袴「おや、本当にすみませんな、再び呼び出してしまって。」
まったくだよ……
奏翔「いえ、別に。
それにしてもかなりタイミングの良い呼び出しでしたね、理事長。」
まるで見ていたかのように、と心の中で付け加える。
袴「ええ、見てましたからな。 カメラで。」
見てやがったこの理事長。抜目ないな。
奏翔「ははっ、そうでしたか。
で、何か御用でも?」
俺がそう言うと理事長は、さっき読んでいた本を俺に渡してきた。
袴「いえ、先程渡し忘れた一~三年マイナス十三組の名簿と手続き書、そして【彼】に預かった携帯を渡そうと思いましてな。」
奏翔「携帯…ですか。
そうですね。
【彼】らしいです。
ありがとうございます。」
そう言って受け取り、即座に退室しようとすると、理事長が話し掛けてきた。
袴「まぁそんなに急がなくても。 少しこの老いぼれの話し相手になってはくれませんかな。」
このやろう……
奏翔「はぁ、分かりました」
結果。すぐに戻る筈が理事長と世間話をするはめになってしまった。
まぁ、良いか………。
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